【要注意】不動産売却での「契約不適合責任」とは?売主が知っておくべきリスクと対策

不動産を売却する際、あとから「雨漏りがあった」「シロアリ被害がある」と買主に指摘され、補修費や損害賠償を求められるケースがあります。これは「契約不適合責任」に関わる問題です。
売却後に思わぬトラブルに巻き込まれないためには、「契約不適合責任」の内容と、売主としてどんな対策を講じておくべきかを知ることが重要です。
本記事では、不動産売却時の契約不適合責任の基本から、リスクを最小限にする方法まで、わかりやすく解説します。
契約不適合責任とは?
契約不適合責任とは、売買契約に基づいて引き渡された物件が、契約内容と異なる場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。
2020年4月の民法改正により、それまでの「瑕疵担保責任」は廃止され、契約不適合責任へと一本化されました。
たとえば以下のようなケースが該当します:
- 雨漏りがある
- シロアリ被害があった
- 給排水管に不具合がある
- 境界線トラブルが発覚した など
買主は、補修・代金減額・損害賠償請求、さらには契約解除を求めることも可能です。
契約不適合責任の期間はいつまで?
一般的には、「引き渡しから1年以内」に買主が不適合を知った場合に責任を問うことができます。
ただし、売買契約で特約を結べば、この期間を短縮することも可能です。中古住宅の売却では、3か月や6か月とすることはよくあります。
売主が取るべきリスク対策
不動産売却時に契約不適合責任を問われないために、以下のような対策が重要です。
事前に建物状況調査(インスペクション)を実施する
目に見えない欠陥も含めて、事前に専門家にチェックしてもらうことで、トラブルを防げます。
既存住宅売買瑕疵保険への加入
売主または買主がこの保険に加入しておくと、万が一の補修費を保険でカバーできます。
重要事項説明書・売買契約書の記載を明確にする
あらかじめ既知の不具合は正直に記載し、「現況有姿売買」や「契約不適合責任を免責する特約」を設けることで、トラブル回避に繋がります(ただし全面免責は難しいケースもあるため、宅建業者のアドバイスを受けるのが安全です)。
契約不適合責任が発生したらどうなる?
実際に契約不適合責任が問われた場合、以下のような流れになります:
- 買主から不具合の通知が届く
- 売主側が補修対応や費用負担の交渉をする
- 合意に至らない場合、損害賠償請求や裁判に発展する可能性も
こうしたリスクを事前に理解し、備えることで、売主も安心して不動産を売却できます。
まとめ:売却前に「リスクを見える化」しておこう
契約不適合責任は、不動産売却後の大きなリスクとなり得ます。
しかし、事前の情報開示・インスペクション・保険加入・契約書の明文化など、対策を取っておけば、トラブルを未然に防ぐことができます。
不安がある場合は、不動産会社や専門家に相談するのがベストです。安心・安全な不動産取引のためにも、「契約不適合責任」はしっかり理解しておきましょう。