不動産売却

空き家売却で税金トラブルを防ぐための完全ガイド|よくある失敗例と対策

空き家売却で税金トラブルを防ぐための完全ガイド
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空き家を売ったら予想外に高額な税金を請求された

特例が使えると思っていたのに適用されなかった

空き家の売却には、思わぬ税金トラブルがつきものです。特に相続や長年放置していた空き家を売却する際は、知識不足が高額な納税やペナルティにつながることも。

本記事では、空き家売却でよくある税金トラブルと、その回避法を詳しく解説します。大切な資産を守るためにも、ぜひ最後までチェックしてください。

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空き家売却後によくある税金トラブル

空き家を売却した後、次のようなトラブルが多発しています。

  • 思ったより税金が高額だった
     売却益が出ると「譲渡所得税」が課税されます。特例で控除できると思い込んでいたが条件を満たしておらず、予想外の税額に驚く人が多いです。
  • 取得費がわからず税額が膨らんだ
     古い家だと購入時の契約書や領収書が残っておらず、取得費を推計(概算5%)で計算せざるを得ないケースが頻発。結果、課税所得が大きくなり税金が高くなることがあります。
  • 特例を使えないと言われた
     「空き家の3,000万円特別控除」などの特例は条件が厳密です。「住んでいた期間」「売却時の状態」「相続後の使い方」「被相続が亡くなった時期」など条件が合わず、使えないケースがあり、安易に当てにすると痛い目を見ます。
  • 税務署から修正申告を求められた
     譲渡所得の計算ミスや特例の誤適用などで、売却後しばらく経ってから税務署から呼び出しを受ける人も少なくありません。

これらのトラブルを防ぐには、譲渡所得税の仕組みや特例の詳細を理解することが欠かせません。

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譲渡所得税の計算方法

空き家売却の税金で最大の落とし穴が取得費の不明問題です。

譲渡所得は、以下の計算式で求めます。

譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)

取得費が不明だとどうなる?

  • 取得費が証明できない場合、売却価格の5%を取得費とみなす「概算取得費」で計算されます。
  • 実際の取得費が高かった場合でも、証明できなければ税負担が重くなる可能性大。

例:売却価格2,000万円、実際の取得費1,000万円のはずが証明できず概算5%を適用

  • 概算取得費:2,000万円 × 5% = 100万円
  • 譲渡所得:2,000万円-100万円 = 1,900万円

→ 実際よりも課税所得が大幅に増え、税額が何百万円も違ってくることも。

不動産取得税の節税対策

  • 購入当時の売買契約書、領収書などを探す
  • リフォーム代の領収書も取得費に含められる場合があるので保管する
  • 不明なら早めに税理士に相談する
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相続した空き家を売る際の注意点

空き家を相続した場合は、さらに注意が必要です。代表的な落とし穴が以下の通り。

空き家の3,000万円特別控除の条件

相続した空き家を売却する際、多くの人が狙うのが「空き家の3,000万円特別控除」です。
しかし、以下のように条件が非常に細かいため要注意です。

  • 被相続人(亡くなった方)が一人暮らしで住んでいた家
  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(または取り壊して更地にすること)
  • 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却
  • 売却額が1億円以下
  • 相続後に第三者へ賃貸、事業用として使っていない など

条件を一つでも満たさないと特例は使えません。

編集長
編集長

宜しければ、以下のチェック表をお使いください。私もよく使います。

被相続人の居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例適用チェック表(引用:名古屋国税局)

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税務署に指摘されやすいポイント

以下は、税務署が目を光らせやすいポイントです。

  • 売却価格が不自然に低い
     相場より極端に安いと指摘される可能性があります。
  • 特例適用の要件漏れ
     居住要件や利用状況などを誤認して特例を適用していると後から修正申告を求められます。
  • 経費の水増し計上
     実際には売却と無関係な支出を譲渡費用に計上すると否認される恐れがあります。
  • 取得費の過大計上
     領収書がない費用を根拠なく加算するなどは危険です。

「バレないだろう」と思っても、登記や相続関係はデータが残るため、税務署に把握されやすい分野です。

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トラブルを防ぐチェックリスト

以下の項目を売却前に必ず確認しましょう。

  • 売却予定の空き家の取得費がわかる書類は残っているか
  • 特例が使える条件を満たしているか
  • 売却代金を相場と比較して問題ないか
  • 売却に伴う経費の領収書を保管しているか
  • 売却後の税額試算を行ったか
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専門家へ相談するタイミング

以下に該当する方は早めに専門家(税理士)へ相談をおすすめします。

  • 取得費が不明で計算に自信がない
  • 空き家を相続したが特例を使えるか不明
  • 売却益が大きく出そう
  • 修正申告を求められた
  • 相続人が複数いて売却代金の分配に不安がある

税務は非常に複雑です。後からトラブルになるより、数万円の相談料で安心を買う方が賢明です。

まとめ

空き家の売却は「高く売れればOK」と思いがちですが、税金で数百万円の差がつくことも珍しくありません。特に相続した空き家は制度が複雑で、想定外の税負担に苦しむ方が後を絶ちません。

  • 売却前に税金シミュレーションを行う
  • 特例の適用条件を正確に把握する
  • 取得費の書類を徹底的に探す
  • 不安なら専門家へ相談する

こうした準備が、税金トラブルを防ぐ最大のカギです。

空き家売却での税金に関して不安を感じている方は、ぜひ今回の記事を参考に、安心して売却を進めてください。

プロフィール
BONCLA(ボンクラ)新聞編集長 酒井
BONCLA(ボンクラ)新聞編集長 酒井
宅地建物取引士 / 岐阜県空家等総合相談員
株式会社ボンズ不動産代表

主な事業内容は、空き家の買取再販・売買仲介・不動産投資(不動産賃貸業)、岐阜県南部(岐阜市・大垣市・瑞穂市・各務原市・関市・美濃加茂市・可児市など)が主な活動エリアです

・BON(ボン):ボンズ不動産が運営する、フランス語で”良い”
・CLA(クラ):暮らし、Classic=価値のある

”暮らしを豊かにしたい"、"価値のある情報を提供したい"という思いで当サイトを運営しています
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